カステラ書房の毎日

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岩井俊二監督『四月物語』(1998年)、雨粒で遊ぶ松たか子さんをみて目覚めた素敵な朝


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手足を縛られ自由を奪われ、打ちっぱなしのコンクリートの床に寝かされてるみたいだ。「からだのあちこちが痛いや」


連日のドラマ・映画鑑賞が祟って昨夜は日付変更線を通り越してすぐ眠りについてしまった。


岩井俊二監督、松たか子主演の映画『四月物語』(1998年)を途中まで観て寝た。


ドラマは、『絶対零度』第5話、『コンフィデンスマン.jp』第5話、『シロでもクロでもない世界でパンダは笑う』第4話、『テセウスの船』第3話、『ハイポジ〜1986年、二度目の青春〜』第4話、『アリバイ崩し承ります』第1話、アニメ『マギア・レコード』第4話などをこの2日間に観た。



相変わらず部屋には何にもなくて、もちろんまだ布団もない。フローリングの床に銀色の保温シートを敷いて寝てるもんで起きるとからだが痛いったらありゃしない。


家電は唯一、古い電子レンジがあるだけ。昨日ようやくカセットコンロを買ったので、火を使えるようになった。


火を使えるようになったけど、フライパンや鍋など一つもないのでまだ未使用だ。それと昨日はカランコエの鉢植えを買った。どうやら僕には生活の才能がないらしい。早いとこフライパンか鍋を手に入れたい。



朝6時すぎに寒くて目が覚めた。

エアコンを入れようかと思ったがやめた。そ、家電といえばこのエアコンもあった。これは元々備え付けだ。しかも古くて安っぽい。音だけやけにうるさく、寒すぎる日には部屋は暖まらない。機械で作られた暖かい風が部屋の寒さに冷やされて、暖かくもない風を運んでくれる。このエアコンは何をやってるんだろう? と不思議に思う。「寒いから作動したのに、扇風機じゃないんだから」って。でも、そのエアコンの名誉のためにフォローすると、扇風機のようにただ風を作ってるわけではなく、ほんの少しだけ、体感できないくらいの暖かさはあるようなのだ。



四月物語』は若かりし松たか子の、女優としてのプロモーション動画のような映画だ。

とくべつにドラマチックで劇的なストーリー展開はなく、良い意味で何もおこらない。それって是枝裕和監督作品のようだけど、是枝監督の映画は登場人物の日常会話や細かいやり取りで魅せるが、岩井俊二監督はただただ映像が美しくて女性を魅力的に描く。


自転車屋で「菅野美穂」の等身大パネルの横に座り、パネルを真似て笑顔をつくってたら、後ろから自転車屋の人に声をかけられて照れるとか。まっすぐじゃなくへんな風にひねった三叉路を自転車で全力疾走する後ろ姿とか。草原でそよ風に吹かれながら国木田独歩著『武蔵野』の文庫本にくちびるをあてるような仕草をするとか。挙げたらキリがないけど、そんなシーンで満載だ。


片想いの先輩がバイトする本屋に度々通い、ようやく気づいてもらえて会話を交わすシーン。

雨が降ってきたので「傘を貸すよ」という先輩に、傘を借りる勇気がなくて「いいです」と自転車で走り出す。だけど思いの外、どしゃ降りになって近くで雨宿りしてるとその建物から出てきたおじさんが「君、これ使いなよ」と傘を差し出す。「じゃあ、ちょっとだけ貸してもらえますか? 私、傘買って、すぐに返しに戻りますから」と、その傘をさして先輩のいる本屋に戻って「やっぱり傘貸してもらえますか」と言う。「傘あるじゃん」という先輩。その先輩から傘を借りたかったのだ。客の忘れ物の折れ曲がった赤い傘を、「これでいいです、これがいいです」と言って借りる。そこで「先輩まだバンドやってるんですか?」とやっと聞けた。傘を返すという約束ができた。


どしゃ降りの中を折れ曲がった赤い傘をさして全力で走る。

おじさんに借りた傘を返して別れたあと、激しく降る雨を眺めながらこぼれる笑顔。赤い傘で雨粒と遊ぶ卯月。


これがこの映画のラストシーンだもんな。こんななんでもないシーンで感動して涙した朝7時50分。素敵な映画をみた朝は、少しだけ素敵な一日になりそうな気がした。からだはあちこち痛いけど。