カステラ書房の毎日

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castellatte ep1 アンリミテッドルールブック 例外のほうが多い規則 / 池田エライザの『異邦人』/ 覚悟をもってトマトを買う

アンリミテッドルールブック。例外のほうが多い規則。

「僕はキメ顔でそう言った」ね。



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☆TVアニメ『憑物語』公式サイトより



快晴というでもない。何度目かに目覚めた朝は割と晴れてはいた。その天気を見る限り、暗くなる理由は一つもなさそうだった。


グッモーニング、グッドモーニング




池田エライザが歌う『異邦人』(久保田早紀 1979年)

まず純粋に歌が上手いなぁって。女優さんだから表現力が優れてんのかな。でも池田エライザって、がっつり女優ってんでもないな。どちらかというとモデルのイメージが強いよな。


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「それにしても魅力的な歌い方だなあ」

女性として見た目の魅力が無意識に乗っかってんのかな。そんなことを考えながら映像を観てたら、歌い終わった彼女に言ったリリー・フランキーの感想が答えだった。


「リズムの取り方とか、息の抜き方とかが独特よね。あき竹城さん的な」と、スタジオトークで笑いを誘っていたリリーさん。たしかに独特だったんだ。なんかさらりと聴き流せない、癖のある歌い方だった。もちろんそこが魅力的だった。


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MBS 番組HPより ドラマ『左ききのエレン』2019年10月-12月 放送



池田エライザさんについて僕は多くを知らない。

ドラマ『左ききのエレン』が好きだった僕にとっては「エレン」のイメージがつよい。彼女は天真爛漫なキャラなどは似合わず、やはり「エレン」とか、影のある女性なんかがハマり役だ。ちょっと〝 S 〟で、無表情で淡々と語ったりするタイプだ。そんな役柄なら『ドS刑事』(主演・多部未華子 2015年)のようなコメディっぽいドラマも似合うかもしれない。でも『ドS刑事』の続編があるとしたら主演の多部未華子さんは動かしようがないけど(希望)。


〝無表情で淡々と語る〟と言えば、それはもう斧乃木余接 ( おののきよつぎ )だ。冒頭の「アンリミテッドルールブック 例外のほうが多い規則」は、西尾維新原作の小説及びアニメーション作品「物語」シリーズに登場する斧乃木余接の技の名前だ。


斧乃木余接について僕は多くを知らない。池田エライザの事よりももっと知らない。

「僕はキメ顔でそう言った」をついこの間まで阿良々木暦の台詞だと思ってたくらいだ。



僕は安アパートに住み、テレビや冷蔵庫といった家電がほとんどない生活をしてる。おかげで今月の電気代の支払い請求額は800円ちょっとだった。

5月と言えどもたまに暑い日があり、先日サラダで食べようと買っておいたサニーレタスやトマトに、エノキやナスまで全滅してしまった。あんな蒸し暑い台所で野菜たちが生き延びれるはずがなかった。しばらく野菜は控えようと思った。


それでもスーパーに行くと野菜コーナーに足が向く。

「トマト4つで199円って買いでしょ」

思わずパックを手に取って、腐らせて捨てることになるかもしれないトマトのことを想い躊躇う。いや、ここ何日かの気温はそこまで高くない。明日だってきっとそうだ。そう自分に言い聞かせて覚悟をもってそのトマトと、サニーレタスをレジカゴに入れた。



閉店近くに値引きされてた弁当を昨夜半分食べて、残りの半分を今日の朝食にした。サニーレタスをちぎり、トマトを角切りにして青しそドレッシングをかけて食べた。ささやかなことだけど、それがあるとないではかなり違う。



「不幸や不遇に甘んじていることを頑張ってると思っちゃってるんじゃないの」と斧乃木余接は言った。「それは何もしていないということだ」と。


「不幸で居続けることは怠慢。幸せになろうとしないのは卑怯だ」



バックグラウンド再生で音だけ聴いてるメトロックの過去映像の「Official髭男dism」の曲は明らかに僕を囃したててる。「あいみょん」の曲は勇気づけようとしてくれてる。


「わかってるよ、わかってるんだけどさ」と思う自分に、それが怠慢なんだよ、ともう一人の自分が思う。で、卑怯だってんでしょ? 余接ちゃん。


「卑怯だってさ、どうよ? 」ともう一人の自分が訊いてきた。




すべてを乗り越えてたどり着ける未来はあるのかもしれない。いや、きっとあるんだろう。

それこそが本当に手にしたい未来だってことはわかるんだ。

僕が冷蔵庫を欲しがらないから、トマトを腐らせてしまったりすることもわかってる。



まだやり直せるんじゃないかって思えてた頃によく聴いてた、いきものがかりの『月とあたしと冷蔵庫』を久しぶりに聴いた。そしてわざわざ言うほどのことでもなく泣いたのさ。



怠慢とか、卑怯とか、言わないで聞いて欲しい。

もう少し時間が必要なんだ。おおよそ涙が枯れ果てるくらいの時間が。

一時的な感情で語りたくないんだ。すぐに溶けて失くなっちゃうかもしれないから。もうこれ以上、何かを失くしたりしたくないんだ。


すべてを凌駕して、別の次元から過去を上回ることは不可能ではないと思えるんだ。

可能性として。まだあきらめてないんだ。

僕はキメ顔でそう言った。