カステラ書房の毎日

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自分以外の存在が必要な理由 ドラマ『レンタルなんもしない人』第8話

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☆ドラマ『レンタルなんもしない人』第8話より





「普通ですね」

「僕には判断できないです」

「わかんないです」


マッチングアプリで知り合った女性とのデートを一緒に振り返って欲しいという依頼者・瀬戸正一郎(松尾諭)からの質問に対し極めて簡潔に答えるレンタルさん・森山将太(増田貴久)。



そのデートで女性に告白し、言葉じゃ伝えきれないのでラブレターも渡した瀬戸さん。そのラブレターの文面の画像をレンタルさんに見せる。一通り目を通したレンタルさんは手紙の感想よりも先に「てにをは間違えてますね、ここ‥」と指摘する。瀬戸さんに内容的にはどうか、と聞かれると「よくわかんないです」と答える。



「レンタルさんは何故、自分が結婚できたと思いますか? 」

「さあ? 」

「レンタルさんは今、幸せですか? 」

「どうなんでしょうかね」



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☆ 瀬戸正一郎(松尾諭)はデートの日、手漕ぎボートで告白した。それをレンタルさんと振り返り再現する




デートの振り返り終了後も話し込んでいたため時間を忘れていて、次の依頼者の元へ急ごうとするレンタルさんを呼び止めタクシーで一緒にその場所へ向かう瀬戸さん。


着いた先は神社で、「結婚式に出会したくらいの気持ちで眺めにいらっしゃいませんか」という結婚式を挙げる熟年女性からの依頼だった。



これも実際にあった依頼であり出来事だったんだろう。

僕は『レンタルなんもしない人』の実際のレンタルさんによる書籍を読んでない。それを前提に話を続けると、この二つの依頼が同じ日でつながっていたことがとてもドラマチックで今話は秀逸だと感じた。


それが実話であれ脚本であれ、一人が嫌で誰かにそばで見ていてほしいと願う(彼女へのラブレターにもそう書いた)瀬戸さんが、皮肉にも誰かをそばで見る役目をしていて、結婚したいと願う瀬戸さんが、皮肉にも誰かの結婚式を見ている。そして、自然に微笑んでいるのだ。瀬戸さんが二人の幸せを願い、心から祝っていることは容易く想像できる。瀬戸さんは絵に描いたような優しくて〝いい人〟なのだ。


結婚式を見ていて欲しいという依頼文には、「奥さんや友人もご一緒に」とあった。レンタルさんの奥さんは予定があり無理だった。レンタルさんに友人は居そうにない。そもそも一人で来るつもりだったのだ。そんなレンタルさんと偶然の流れで並んで一緒に見学することになった瀬戸さんは、即席の友人のように見えなくもなかった。

自分以外の誰かがいるから、一人ではなくなる。

だけど。

自分以外の誰かがいるから、一人を感じることがあるのも事実だ。



昔付き合っていた彼女にも、今回のマッチングアプリで知り合った女性にも「優しいだけじゃ物足りない」を理由にフラれた瀬戸さんが、自分は優しさに何をプラスすればいいのか、とレンタルさんに聞く。


レンタルさんは答える。

「もう優しさに優しさがプラスされてるように思いますけど」

「失恋したあとに結婚式で微笑むって、たぶん僕にはできないです」


嘘をつくのは苦手なレンタルさんだから、気を使って言ったものではないと笑う瀬戸さんはすぐに明日に向かって走りだしていた(まずは痩せようとジョギング)。


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そんな夕陽のラストシーン。

「瀬戸さん、今日は良い微笑みをありがとうございました」と神社で結婚式を挙げた女性よりメールが届く。どうしても手にすることの出来ない幸せがある一方で、思いがけず手にするささやかな幸せがある。


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レンタルさんが帰宅すると奥さんがまな板の上にもやしを並べてる。「十もやし十色だね〜」

劇中、多くを語らないレンタルさん・森山将太に代わって奥さん・森山沙紀(比嘉愛未)が度々エッセンスを加えてくる感がある。

奥さんが作った節約レシピの料理が思いがけず美味しくて二人して「うまっ」。これもまたささやかな幸せ。



◇今話の神林勇作(葉山奨之)は


「レンタルなんもしない人、よく奥さんを家に置いて、外をほっつき歩けるよな」

と、ツイート。すぐにたくさんの〝 いいね 〟が付いて思わず、「いいね」と口にする。

今話の出番は少なめだった。




◇ドラマ『レンタルなんもしない人』は、撮影ストックはここまでのようで、第9話以降は延期となる。今季のドラマは不運だね。来季の(予定だった)ドラマも同じことが言えるけど。