カステラ書房の毎日

〝令和きってのドラマウォッチャー〟阿倍カステラが所属する『カステラ書房』

読むドラマ ◇ case 6 『文学処女』第4話 森川葵に魅せられてみない?

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□ドラマ『文学処女 』重版放送 第4話より

MBS  2020年5月28日スタート 毎週木曜深夜0:59〜 各局放送時間バラつきアリ 注意



【基本的に全編ネタバレ】

⚪︎過去に全話観た方が重版放送を途中から見返す際にご利用いただけたら幸いです

⚪︎観る気すらなかった方がこれを読んで重版放送を観てくれたら、それはなんて素敵なことでしょう〜



読むドラマ case6 『文学処女』第4話


前回の「読むドラマ」で、30分枠のドラマは〝ゆるversion〟扱いにすると言ったばかりだけど、ゆるversionどころじゃない大作になってしまった。

それに今回はドラマ本編をいつも以上に振り返ってる。好きが強すぎるのかな。そこらへんの事は終盤で語ってるんで、良かったら最後までお付き合いくだしゃんせ。


本編が長文なので、オープニングトークはこれくらいにして。さくさくと行きましょう⁉︎




『文学処女』重版放送 第4話


加賀屋朔(城田優)のサイン会に参加したファンの喜びのコメントを見た月白鹿子(森川葵)。


(心の声)「先生に見せてあげたいなあ、先生、手大丈夫かなあ、つぎ会えるのは…」とすっかり乙女モードで甘ったるい妄想をしてる鹿子。終いには声に出して「明日かあ、早く会いたいなあ」と口走る。その自分の言葉に我に返る。


「早く会いたい? ってなんだよ、こわいこわい。担当作家だよ、仕事相手だよ。しっかりして、鹿子〜」と、それまで自分のデスクで妄想モードに入ってた鹿子をカメラが正面から撮っていたのに、いきなりイスの背もたれに体を預け天井見上げての、


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「しっかりして、鹿子〜」と手を伸ばす妄想劇場の主演女優による演技を、天井からのカメラがしっかり撮ってる。



月白鹿子の妄想劇場


この主演女優は次の動きに入る際、一度チラッとカメラの位置を確認するように目線を送る仕草も見せた。その挙動の一つ一つがおもしろくて目が離せない。鹿子のデスク周辺で繰り広げられる妄想劇場から、これからも目が離せないね。




◇加賀屋の自宅


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加賀屋から「間に合わない…」と電話があり、すぐに加賀屋宅に駆けつけた鹿子。


返事がないので家の中に入ると加賀屋が倒れていた。


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鹿子「先生、大丈夫ですか?」

  「左手は? 」

加賀屋「ダメ、動かない」

鹿子「ちゃんと食べてますか? 」

加賀屋「だって、めんどくさいんだもん」


「キャラ変わってるじゃないですか、しっかりしてくたさい。ほら早く、起きて、」と加賀屋の体を起こそうとするが鹿子の力では無理。加賀屋にもたれかかられて膝枕の状態になる。そのタイミングで有明光稀(泉里香)が買い物袋を提げて入ってくる。


鹿子と加賀屋の状態を見た有明は「加賀屋く〜ん、ちょっとー! 寝室に移動! 」と加賀屋の肩を叩いて無理矢理ベッドへ連れて行く。



居間でお茶する鹿子と有明

加賀屋と有明の関係をずっと疑っていた鹿子は「有明さんは、先生と…」と質問する。


有明「ちがうちがう。何もないよ。大学の同期なの」

鹿子「そうでしたか‼︎ 」ほっとしたせいもあってリアクションが大きい。


暫し歓談。有明が大学生の頃、インターンで緑線社の編集長にお世話になったという話題から、(心の声)「大学生の時の有明さんかあ〜、今の私なんかより大人っぽかったんだろうなあ〜。こういう種属の人って初体験とかいつぐらいに〜」と、そんなゲスな事に興味津々な鹿子。


有明「月白さんは、加賀屋くんの作品でどれが一番好き? 」

鹿子「私は「花冷えの時」が」

有明「え、あれって書籍化されてないけど」

鹿子「はい。新人賞が掲載された文芸誌、たまたま買ってたんです」

有明「え〜、ほんとうに本が好きなんだね」


鹿子「あの、先生はどうして恋愛小説を書かなくなってしまったんでしょうか? 」


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有明光稀の訳ありな「え? 」


鹿子「私はあの物語で恋を知りました。もう一度先生のラブストーリーが読みたいと思っています」

有明「あの作品は、加賀屋くんの話だから。唯一、彼が自分をさらけ出した作品とも言えるかもしれないね」

有明「加賀屋くんがまた恋をしたら変わるのかも」

その後、加賀屋が起きてきて歓談に加わった。




暫くして、帰ろうとする有明に加賀屋は「光稀」と呼びかける。そんなごく自然な光景を見ながら、


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(心の声)

鹿子「光稀って。有明さんの言うようにこの二人は本当に恋人とか、そういう関係ではないのかもしれない。でもそれって何かあるより、ずっと強い」

鹿子「何これ? 胸のここんところが痛い。これじゃあ、私が先生のこと好きみたいじゃん」



自分の不注意(前話のアクシデント)で加賀屋に怪我をさせてしまった事を気にしている鹿子を気遣って、明日〆切の原稿は間に合わせるから大丈夫だと声をかける加賀屋。

そんな加賀屋に、

鹿子「先生。私が手になります。今晩は私が先生の手になります」

加賀屋「それは、どういう意味で言ってるの? 」と、茶化す。



自ら志願して鹿子が口述筆記をする事になる。加賀屋が口頭で物語を語り、それを鹿子がパソコンのキーボードを叩き原稿にする。加賀屋が口にするそれは、たまたまなのか鹿子を揶揄ってるのか、やたらと濃厚で官能的な場面。


「これって、官能シーン⁉︎ 」鹿子の手が止まり、その場面を自分と加賀屋に置き換えて妄想しだす。


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その妄想シーンは美しくも官能的だ。加賀屋の声で語られている二人のラブロマンスは、ここで文字を起こすのも躊躇ったほどに過激な内容なのに、全然エロさは感じない。いや、その文章と城田優さんは充分にエロいんだろうけど。森川葵さんがねえ。でもこれは悪い意味じゃない。『文学処女』の月白鹿子はそういう存在なんだろうなって伝わってくるという事を僕は言ってる。


すっかり手が止まってしまってる鹿子に、「月白くん、月白くん」と加賀屋が呼びかける。

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鹿子はゆっくり加賀屋の方に振り返り、か細い声で、「私、ごはん作ってきます」とその場から逃げる。

鹿子が去った後、「なんちゅう顔するんだ」と加賀屋。



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□オムライスが処女、じゃなかった乙女チック


加賀屋「うまいよ」とオムライスを食べる。

「なんかさ、新婚夫婦みたいだね」

鹿子 その言葉に驚きむせこむ。話を逸らすように質問する。

「先生は、結婚願望とかあるんですか? 」

加賀屋「結婚? まあ、結婚にはあんまり良いイメージはないかな? 」

鹿子「恋愛は? 」

答えない加賀屋。


鹿子「ああ、有明さん、有明さんって綺麗ですよね? 」

間を埋めるように焦って喋り始める。

鹿子「美人だし落ち着いてるし仕事もできそうで。あっ、先生。有明さんのこと好きとかですか? だから特定の恋人を作らないとか」

加賀屋「ありがとう、ごちそうさま」


あからさまに、気分を害した様子で席を立つ加賀屋に「すみません、立ち入った話を」とすぐに謝る鹿子。

「大丈夫」と言った後に「僕と光稀がどういう関係でも、君には関係ないことだよ」と突き放すように言い、「ごめん、30分寝かして」とその場を去る加賀屋。


その後、寝るはずもない加賀屋

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「何やってんだろうな、俺は」


ここで、CMに入る前なのかな。〝一区切り〟みたいに、文章が書かれた原稿用紙が映る。


そこには〝女は気付いていた。これ以上深入りしたら、嵌って戻れなくなると〟と書かれている。



◇緑線社 望月と七星


このドラマでは貴重な主要人物以外だけのシーン。い〜や、望月千広(中尾 暢樹)は主要人物じゃんか。最近のドラマには大抵一人はいるおネエキャラの七星真樹(上遠野太洸)と恋愛談議。

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その後の月白鹿子との関係を語る。望月は、好きだという気持ちを鹿子に押し付け、困らせてしまう事を危惧し次に踏み出せずにいた。本来モテ男(七星 曰く)の望月が、他の女の子の気持ちなら分かるのに「月白のことだけがわかんない」と打ち明ける。そんな状況で「ラスボスみたいなやつ現れるし」と、加賀屋朔をラスボス呼ばわり。

そう悩みを打ち明ける望月に「(月白鹿子を)困らせたっていいんじゃない」、恋愛に正解はないからやりたいようにやれ、とアドバイスする七星。





◇再び加賀屋邸


部屋に加賀屋の姿がなく家の中を探し回る鹿子。そんな鹿子の前に裸で現れる加賀屋。風呂に入るからシャンプーをして欲しいと鹿子に言う。

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バスルームで目隠しさせた加賀屋の髪をシャンプーする鹿子。

加賀屋の体を目前に興奮しだす。


(心の声)

「男の人の体なんて、ちゃんと見たことなかったけど、なんかいろいろ…」

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「エロい」心の声だだ漏れ。


しかもここでも天井にカメラが。加賀屋邸のバスルームでも繰り広げられる鹿子妄想劇場。

その後、バスルームで鼻血を出して倒れる鹿子。バタバタと忙しい。




のぼせて横になる鹿子を団扇で扇ぐ加賀屋。


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鹿子「すみません」

加賀屋「いや、俺が悪かった。少しからかい過ぎたね」

鹿子「すみません」

加賀屋「いつも一人だからかな。ちょっと楽しくなってしまった」


(心の声)

鹿子「もうやだ。先生はずるい。近づけてはくれないくせに、私のこと振り回して、ドキドキさせてずるい」



鹿子「すみません、担当なのに。ダメです、全然ダメです。全然ちゃんとできないんです。自分じゃないみたい」


鹿子「先生? なんなんですか? 26にもなって恋愛したことない女が珍しくておもしろがってるんですか。有明さんみたいに大人な女だったら、一人前の女として見てくれましたか? 」


鹿子「キスだって、先生にとっては何百回のうちの一回かもしれませんけど、私にとっては初めてだったんです」


鹿子「先生のことが知りたい、先生に触れたい。キスしたい。…恋ってこういうものなんでしょうか。この気持ちが、恋なんでしょうか。すみません」


加賀屋は鹿子の言葉を黙ってずっと聞いていた。



◇ここでSonar Pocketの『君の名前』が流れ始める。



Sonar Pocket 『君の名前』

『文学処女』主題歌。このドラマ放送(2018年)と時を同じくしてデビュー10周年を迎えたSonar Pocket の30枚目のシングル


これまではBGM的に「いい曲」だと思いながら、「ソナーポケット? 懐かしいなあ」(失礼! )くらいにしかこの曲を聴いてなかった。第4話にして僕は初めてこの『君の名前』をいい曲だと思った。すぐにこの曲のMVを観て、この曲をフルで聴いて、泣いた。


この第4話からドラマ『文学処女』の主題歌として彼らの曲を認識できた。それは何もソナーポケットがどうこうと言う話じゃなくて、もちろん僕の見解。

でもそれは、これまで何だかわからなかった〝恋〟のようなものを、初めて〝恋〟だと認識しはじめた月白鹿子の感情に似てるかもしれない。それが〝恋〟がはじまる瞬間だったから、ソナポケの歌が心に伝わってきて、『文学処女』とリンクしたのだろう。



第4話はこの後に、

加賀屋「月白くん。次の土曜日デートしようか。場所は決めて」


加賀屋「デートすれば、恋というものがわかるかもしれないよ」


そう言って、次回のデートシーンが流れる予告へとつながる。

その間も『君の名前』はつづいている。


次回予告の出来がどうであれ次回も観るんだけど、こんなにもラストシーンから見事につながった予告を見せられたら、普段から次回予告は見ないと言ってた僕だって「これは見といて良かった」って思うよ。



この「読むドラマ」では、〝ゆるversion〟というのが存在していて、本来30分枠のドラマはそれになる。

だけど僕はこの『文学処女』という30分枠のドラマを2時間前後のスペシャルドラマぐらいの気持ちで観てた。


森川葵演じる月白鹿子の台詞はいつも長文だ。

その上、心の声もあり、妄想の時だってある。

だけど間延びすることなんてないし、説明的すぎることもないし、長ければその分月白鹿子の気持ちがより知れる。


画家にとっての女神〈ミューズ〉とは少しタイプが違うけど、小説家・加賀屋朔にとって月白鹿子は魅力あふれるミューズなんだろう。





【番組後記】


もう、かなり長文になってるので「番組後記」も短めに。

4,000字は軽く超えてる。こんな長文、読む人いるんだろうか? と疑問に思う。


日付け変わった深夜0:05 、原稿も仕上がってコレを書いてる。

今朝も早かったんでもう眠い。もう眠ってもいいですか?