「山田流 一子相伝流儀
〝洗いながら料理〟」
(2017年1月-3月放送 主演 上白石萌音)
MBS 2020年7月23日 再放送スタート
毎週木曜深夜0:59〜
記事は7月23日(木) の第1話より
〈注〉再放送の日時は地域によってばらつきアリ
【基本的に全編ネタバレ】
『カステラ書房の毎日』は深夜1時に毎日更新中‼︎
◉阿倍カステラの「テレビ買ってよ」
◉読むドラマ シリーズ
◉カステラのフロックTV
等、人気企画を日替わりで更新してるよ
〝日替わり〟と言いつつ、最近は新ドラマスタートが相次いでいて読むドラマ シリーズに偏ってしまってはいる
なんなら一気に書いてしまえないものか、と無謀にも挑戦中! それでまた偏るという悪循環が起きている
今回の振り返り度 ★★★
星3つで今回は振り返りが割と強め! ドラマ視聴済みの方には問題ないでしょうが、これから再放送を観る予定の方は先に観てからの方が良いでしょう
また、観る気もなかった人がこれを読んで「ドラマを観たい」ってなったら、それはなんて素敵なことだろう、と感激すると思う
もしそんな方がいらしたらおハガキください(この時代におハガキ? 宛先は? )
一緒にやいのやいの言いながらドラマを観る感覚で読んでもらえたら最高です
『ホクサイと飯さえあれば』第1話
「何なに? このドラマ? 」って感じで再放送を観た。
2017年に放送されたドラマか。
僕はその頃、仕事に追われテレビなんてほとんど観てなかったな。その頃も確か家にテレビはなかった。
通話用の携帯電話とは別に、それ以前に使ってた通話は出来ないガラケーをテレビ代わりとして持っていたっけ。
今の iPhone 画面の約半分くらいの小さな画面だったな。写りの悪いワンセグでごく限られた番組だけ観てたように記憶してる。
よって、この『ホクサイと飯さえあれば』を観た事はなかった。
元々この手のジャンル、いわゆるテレビ東京が得意としてる『孤独のグルメ』的なドラマを観てこなかったせいもある。
最近になって『女子グルメバーガー部』や、グルメではないけど偏った趣味趣向にスポットを当てたドラマとして、桜井日菜子 主演『ふろがーる! 』や矢作穂香 主演『おしゃ家ソムリエおしゃ子』とか、現在放送中のテレビ東京のドラマを観るようになって、その面白さに今更ながらに気づきハマっている。
そんな中での『ホクサイと飯さえあれば』の再放送決定だ。
これはもはや「観ろ!」と強制されているような気がして、「当然、記事も書くんでしょうね? 」とプレッシャーをかけられてる(誰によ? )ようにも思えた。
念のために言っておくと、この『ホクサイと飯さえあれば』はテレビ東京ではなく、MBSテレビ(毎日放送)制作のドラマだ。でも、監督の一人が『孤独のグルメ』の監督を務めた宝来忠昭氏なんだってさ。
まずはどんなもんかな? という感じで見始めて、土手みたいなところで主人公がマヨネーズを手作りするシーンを観て、「あっ、これ書こう」と決めた。
池田エライザさんも出てるしね。それも大きな理由の一つだった。
その決め手となったシーンの話は後でするとして、まずは冒頭の山田流一子相伝流儀〝洗いながら料理〟のつづきから。
僕も実は、昔に料理人だったんでこれってよくわかるんだよね。時間がない時はもちろん、普段から癖で洗いものをしながらいろんな事を同時進行でしてしまう。いや、今なんてそんなに時間にあせる必要なんてないのに、自然とそうしてしまうんだよね。
それでたまに妄想をしたりする。
これってYouTubeとかで生配信したら結構見応えあるんじゃないのって思ってて、生配信してる風に解説とかコメントとか言いながら料理したりして遊んだりしてね。何やってんだか、だけどさ。
でもそれを物語として描くなんてさ。やっぱさすがだなって、惚れ惚れして冒頭のシーンに見入ってしまったよ。
主人公・山田文子(上白石萌音)が、ただでさえ時間がないという状況下で、時短テクニックでホワイトソースを作るくだりをドラマチックにしちゃってるあたり、目の付けどころというか、そのセンスがすごいなって。
いや、原作が漫画なので。その漫画自体にそういうシーンがあるんだろうね。
で、後ろにいるコイツがホクサイ?
コイツが喋るんだよね?
コミュ障で基本的に一人でいる事が多い山田文子(通称 ブン)の独り言の相手というか、相棒的な存在となっているぬいぐるみ。外出する際もリュックに入れて行動を共にする。
ブン「ホクサイ、あと何分? 」
ホクサイ「あと15分でござる」
ブン「15分? 」
「逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだっ‼︎」とアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジばりに、逃げない事を表明し料理に立ち向かうブン。
そのあとも、ホクサイに対して「あなたは死なないわ、私が守るもの」と綾波レイばりに言い放っていた。
ホクサイ「まだ何か作る気でござるか? 」
ブン「当然。メインはホワイトソースの野菜シチューなんだから」
ホクサイ「ホワイトソース? 寝坊した朝にそんな手間のかかるものを。ブン! 野菜シチューと単位、どっちが大事か冷静に考えるでござるよ」
ブン「私は、どっちも諦めない‼︎ 」
裏料理 ホワイトソース イージーモード‼︎
「裏料理、ホワイトソースイージーモード! 」と、炒めた玉ねぎに小麦粉を絡めて牛乳を少量ずつ加えて、時短テクニックを用いたホワイトソース作りをさも必殺技のように演出してる。
フライパンのホワイトソースをかき混ぜるブン。
別のフライパンでは目玉焼きが徐々に焼き上がっていて、オーブントースターのパンも同じくもうすぐ焼き上がるという(料理シーンの)クライマックス。
ホクサイ「何という早技? そしてドヤ顔」
ブン「なんとなく朝ごはんを抜いたり簡単なもので済ませたら、きっとその一日は適当に過ごしちゃう。朝ご飯がおいしいと一日中楽しく過ごせるでしょ」
「いただきます」
商店街を走るブン。
ブン「あ〜、やっぱり冬の朝はシチューにかぎるね〜」
ホクサイ「急ぐでござる。授業まで12分を切ったでござるよ」
ブン「うっそーっ」と、さらに走るスピードを早める
ホクサイ「何やら我々、商店街の皆様の熱い視線を独り占めしてるようでござるが?」
ブン「あーっ! 」
商店街のお店のガラスに写るパジャマ姿のブンに気づくホクサイ。
ブン「今日土曜日じゃん! 学校お休みだったあー」
ホクサイ「え? そこ」
と、まあこんな感じで出先でもボケとツッコミのようなやり取りを繰り広げるブンとホクサイ。
商店街で買い物をしたあとでいきなりうずくまるブン。
ホクサイ「どうしたでござるか? 」
ブン「お腹が…すいて動けない」
ホクサイ「わりとさっき食べたばかりでござるよ」
家に帰りまた料理するにも食べられるようになるまで時間がかかる。何か買って食べようかとサイフの中身を確認すると、商店街でいろいろと買い物したせいで残りの所持金は67円。
その金額で買えるものを探してさまよい歩くが、そんなものは見つからない。
美味しそうなパン屋の前で、そのパンを買うこともできず力尽きしゃがみ込むブン。
そのパン屋へ、「パンの耳だけください」と登場する有川絢子(池田エライザ)。
パン耳女子 登場!
「あの実は私、大学生なんですけど。一人暮らしって思ったより物入りで、それでパンの耳だけいただけないかなあと思って」
パン屋の外でその様子を観察するブン
ホクサイ「ブンと同じ境遇なのにこの堂々とした佇まい」
有川絢子「パンの耳だったらどこでもいいっていうわけじゃなくて、ここのパンどのパンも美味しそうだったから、ここしかないと思って」
ホクサイ「そしてこの巧みな交渉術」
「いいよ、パンの耳ぐらい」と笑い、了承するパン屋の店長。
「よっしゃ! 」と喜ぶ姿が可愛い
ん? ここで気づく。このドラマは2017年1月-3月の放送。
つい先日まで再放送されていたMBSテレビ『ぼくは麻理のなか』(主演 池田エライザ )も地上波放送は10月-12月だけど、FODで配信されたのは2017年3月。撮影は同時期かもしれないね。ちなみにこっちは大学生で、あっちは高校生役。撮影時はおそらく実年齢20歳の池田エライザさん。
そしてその『ぼくは麻理のなか』の読むドラマはこちら
と、巧みな番宣! 巧みでもないか。
いやいやいや。以前は出来なかった〝過去記事の貼り付け〟が、ようやく出来るようになったんでちょいちょいその技術を披露したいがため。披露するような技術でもないか。
ホクサイ「店長のハート、ロックオン! 」
パンの耳をもらった有川絢子の姿を、パン屋のガラス窓越しに眺めてるブン。
ブン「ずるい。パンの耳というより、もはやパンじゃん」
ホクサイ「これがコミュ障とリア充の格差でござるよ」
ブン「コミュ障とか言わないの」
「やったね〜」と笑顔でパン屋から出てきた有川絢子は店の外にいたブンに気づき、「いる? 」ともらったばかりのパンの耳をあげようとするが。
コミュ障のブンは何も言わずその場から逃げるように去る。
ホクサイ「欲しかったくせに」
ブン「いらないもん」
ホクサイ「友達ができる良い機会を逃したでござる」
ブン「それもいらない。ああいう綺麗でリア充っぽい子って苦手なタイプだし」
そんな事を言いながら、再び67円で買える食べ物を探すブン。
100円ショップの前で立ち止まり、「そうだ」と店内に入る。
河原の土手へやって来たブン。
ブンの住んでるところが足立区北千住だから、荒川かな。
僕の方も冒頭の方で話した「あっ、これ書こう」と思ったシーンにようやくたどり着いた。
ブンが100円ショップで購入したのは、値引きされて半額になっていたサンドイッチ。
お腹がすいているからといってそれをそのまますぐに食べないのがこのドラマの流儀。
河原の土手に座りそのサンドイッチを袋から出しパンを開く。中身は薄いハムと、気持ち程度のレタスのみ。
ホクサイ「オーマイガっ! 清々しいまでに切ないサンドイッチ」
ブン「で・す・が」
「まず、深めのタッパーに卵黄を一個」と、河原の土手で調理をはじめるブン。
必要な調味料をタッパーに入れ終わると、先程商店街で買った泡立て器を手にして、
「そしてかき混ぜる! ここがチョー肝心! チョー混ぜて、チョー泡立てる」
このシーンがほんと可笑しい。
そして、この可笑しなシーンはさらにつづく。
ブン「よし。そして、150mlのサラダ油をちょっとずつ加えて、フタを閉めて。さっきのパンの耳をもらえば良かったという悔しさを込めて」
ホクサイ「意外と根に持つタイプなのね」
ブン「振る! 振るるる」
タッパーを手に立ち上がり、全身を揺らしながらそれを振る。
サラダ油をまた少量足して再び振る。
タッパーを手に全身を揺らす女子の奇行に、河原の土手にいた人々の視線が集中する。
そんな事もお構いなしに、「まだまだ振る! 振るるる」と一心不乱にタッパーを振りつづけるが、力が入り過ぎてそのタッパーを天高く放り投げてしまう。
天を見上げるブン。
そのブンの奇行に目を奪われていた河原の人々も、一斉に天高く舞うタッパーを見上げる。
そこへ有川絢子が現れ、落下するタッパーをダイビングキャッチ!
主人公と主要人物の出会いとしてはよくあるようなシチュエーションぽくもあるが、そのディテールはまずあり得ない。だけどなんだかキマっていて、それでいてやっぱり可笑しい。
マヨネーズをダイビングキャッチした方も、そのマヨネーズを放り投げた方も、お互い誰だかはまだ気づいていない。
ブンはその誰だかに近づき、「ありがとうございます」とお礼を言うが、その相手が先にブンに気づく。
有川絢子「あっ、さっきの!」
ホクサイ「パン耳女子!」
ブンは何も言わずにまたその場から逃げようとする。どこまでもコミュ障。
有川絢子「ちょっと、ちょっと待って、なんで逃げんの?あっ、え? なんか出たよ〜」
自分がダイビングキャッチしたそれがマヨネーズだと知る由もない有川絢子は驚く。そりゃあ驚くよね。
有川絢子のその声を聞いて、おそらくマヨネーズが完成した事を思い出して喜んだのであろう、にこっと笑うブン。買い物した荷物の中からツナ缶を取り出して、再び有川絢子の元へ走りツナ缶を無言で開ける。
有川絢子「いや、そこでツナ缶を開ける意味がわからないんだけど」 クールにツッコミ入れる
ブン「マ」
有川絢子「ま?」
ブン「マヨネーズが出来たから」
その手作りマヨネーズにツナを混ぜて、100円ショップのサンドイッチに挟み、
ブン「これで変身のサンドイッチ完成」
ホクサイ「腹の虫が取り持つ縁でござるなあ」
二人並んでサンドイッチを手に土手に座る。
お互いに自己紹介をする。ここで初めて名前が同じことに驚く。
二人とも本名の〝あやこ〟ではなく、その漢字から「文子」は〝ブン〟、「絢子」は〝ジュン〟と呼ばれてる事を話し、互いにそのニックネームをちゃんづけで呼び合う。コミュ障のブンに友達ができた瞬間だった。
二人揃って「いただきまーす」とサンドイッチを食べようとしてたら、大量の鳥が現れジュンこと有川絢子がもらったパンの耳を食べられてしまう。それを大笑いするブンと、「ブンちゃん笑い事じゃないんだって〜」と言いながらも、笑うブンにつられて一緒に笑うジュン。
ブンのナレーション
「たしかに一人でも人生はエンジョイできる。でも友達がいるといつもよりちょっとだけたくさん笑えるのかも。だよねホクサイ?」
〈おしまい〉
【番組後記】
いいドラマだね。引き込まれるように観てしまって、そのままズルズルと振り返り強めで書いてしまった!
前回の『ふろがーる!』もそうだったけど、「読むドラマ」ってそのドラマの回によって振り返り度が変化するんだよね。
読む人にとってはどっちが良いかはわからないけど、どっちであっても需要はあるのかな? とは実感してる。
まあ、こんなふうに続けていきながら、もっと自分のスタイルを確立していけたらなって思ってはいる。
この原稿がほぼ完成した時に「あーっ、サンドイッチじゃん」と気づく。
普段僕は「サンドウィッチ」の文字を使うので、間違えてた。「サンドウィッチ」を「サンドイッチ」に書き換える作業がしんどかった。パソコンなら一発で出来るんだろうけどね。
〈次回お楽しみに〉