カステラ書房の毎日

〝令和きってのドラマウォッチャー〟阿倍カステラが所属する『カステラ書房』

角田光代さんの転機の話を聞いて、自分の転機にあてはめてみた


f:id:gklucky:20200326235022p:plain

☆どアップシリーズ、したむきちゃんの珍しいにっこり顔。なにかいいことあったかな☆





おじいちゃん編集者から「希望を書かなきゃダメだ」と言われた角田光代さん。「あなたの作品は厭世的すぎる」と言われたのだという。「すべての小説には希望が書かれている」とも。


厭世的であることは認めるものの、「希望を書く」ということにはピンときていなかった当時の角田さん。転機となったのは脚本家・久世光彦氏による著者『空中庭園』の書評だったと語る。一定の評価をした最後に「だから何なの? 」と締め括られていたという。


その書評をきっかけに自身が変わったのをはっきりと記憶してると語り、「自分が世の中をどんなに信じられなくても汚いものに目がいってしまっても綺麗なものを書くことはできる」と日記に書いて、「世の中が綺麗かもしれないということを書いてもいいんだ」と思ったと語っていた。


阿川佐和子さんが司会するトーク番組『サワコの朝』のゲストが小説家・角田光代さんだったので、「TVer」で観た。「TVer」ってすごいな。いろんな番組を観ることができる。


もちろん角田光代さんの作品じゃないんだけど、つい最近読んだ芥川賞受賞作の小説で、読み終わったあとに「なんでこんな小説読んだんだろう? 」と後悔した本があった。途中でやめればよかったのだけど、そんなに文字数も多くなかったし、最後まで読まないとわからない作品だってあるしね。で、結果的に後悔することになった。冒頭の話になぞらえて言うと希望は感じられなかったし、救いがなかった。読んでる最中に「何を読まされてるんだろう? 」と不快になった。



僕はもっと早くに小説を書いていればと思った。すべてを失う前に僕が小説を書いていれば、事態はだいぶ変わっていたように思う。もちろんそれこそが「後悔先に立たず」ということなのは知ってるけど、ほんとに声に出して文字にして「後悔」してることを公開したい。


あの頃いつも言ってたんだ。

「僕には綺麗事や絵空事しか書けない」って。

とことん前向きでポジティブだった。目にするものすべてに幸せを語れる自信がたしかあった。現在では信じられないけど。


だから角田光代さんが「世の中が綺麗かもしれないということを書いてもいいんだ」と番組内で語ったときに、ちょっと心が騒いだ。

「後悔先に立たず」だし、ドラマ『テセウスの船』じゃないんだから過去に戻って未来を変えるなんてできない。でも書こうと思えば書けるんじゃないかって、そんなふうに思えた。



少し前にこんなことをこのブログに書いた。


美しいものをみくびってた

ないがしろにできるはずがない 美しいものを


見て見ぬふりできない 美しいものを



あの時はなんとなくだった。あの時と比べて何がどう変わったという話ではない。なんとなくはなんとなくのまんまだけど。



僕にだってまだ、美しいものが書けるんじゃないかって。



ある日、

僕は人間をやめて

「カステラ」として

生きることにした



僕はもうカステラだから、「僕にだってまだ、」じゃなくて新しい気持ちで美しいものを書けるはずだと。今は思いたい。それが僕にとっての希望だから。