カステラ書房の毎日

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これほどに覚悟がありそれでいて危うげな ドラマ『中学聖日記 特別編』第3話

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☆ドラマ『中学聖日記 特別編』第3話より

今話はこの駅で珠玉の名シーンが

【基本的に全編ネタバレ】



回またしてもドラマ『中学聖日記』。現在、月・火・水・金と放送されてるんで観るのも書くのも追いつかない状況。公開だって毎日やんないと追いつかないしね。『中学聖日記』の話が二日連続になってしまったけど、出来る限り偏らないようにはしたい。


でも、この『中学聖日記』は観れば観るほどに面白いドラマだから、ついついいろんな事を書きたくなっちゃうんだよな。それでは。



「なんだよ。大人、イケメン、お似合い」

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「俺の入る余地、ゼロじゃん」



前話のラスト。三人が鉢合わせするという、いわゆる修羅場は黒岩晶(岡田健史)の咄嗟による判断で回避された。さすがの反射神経を発揮した15歳の黒岩くんだった。




◇教室

三泊四日の勉強合宿です」と申込書のプリントを配り説明する末永聖(有村架純)先生。「昨年から始まり大好評だった」と説明を続けるが、生徒からは「親にですよね? 」「先輩から聞いたらちょー地獄だったって」と野次が飛ぶ。聖が毅然と「違いますよ。天国ですよ。勉強天国」と言うと、九重順一郎(若林時英)は「そんな天国ねえわ! 」とナイスツッコミを入れる。


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☆黒岩くんが体育祭のハチマキを聖に渡したことがSNSの書き込みによってクラスに知れわたる



「もうあったまきた! 」と岩崎るな(小野莉奈)。教室を駆け出して黒岩くんを追いかける。


「黒岩は、私とリア充すればいいと思う」

「末永なんか忘れて、私と付き合えばいいと思う」


「そんなこと言われても、おれ、岩崎のこと好きになんないよ」



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「いいよ、それでもいいよ」と岩崎るな




◇プール(掃除中)

黒岩くんが岩崎るなに告白され付き合うことになったことを知った聖。

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☆直接的な感情とは別の思いがあるときに多用される、背後の割合が多い構図(上)


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「何これ? ほっとしてる自分って、どうなの?  …教師として」


上記二つのカットは連続してる。




◇大阪・川合勝太郎の勤務先


「一世一代の聞こえないフリ」をしたと上司・原口律(吉田羊)に打ち明ける川合勝太郎(町田啓太)。自分が突然会いに行った際(前話ラスト)、聖が「黒岩くん」と呼んでドアを開けた事を律に話す。

その「黒岩くん」の正体が中学生だと知り安心したともらす勝太郎に、律はパソコンで聖や黒岩くんのゴシップ情報がアップされてるSNSを見せる。


「火のないところに煙は立たない、と言うよね? 」

「川合、予兆ってあるからね。よくよく考えればあれおかしかったなっていう予兆。サイン」



◇大阪・仕事帰りの焼肉屋


「あんたも大人ぶってカッコつける癖ない? 」と律に言い当てられる勝太郎。

「聖ちゃんと離れて、何かがずれてお互い気持ち見えなくなったら、そういう時は自分さらけ出して話した方がいいよ」

またもや的確なアドバイスをする律。勝太郎は何かを言おうとするが思い留まり話をそらす。




◇勉強合宿


黒岩くんが海老原満(川口和宥)を一方的に殴り乱闘騒ぎになる。必死に仲裁に入る聖。これまでで一番、声を荒げての熱演。でもそれは教師としてごく自然体とも言える、生徒に対する叱り方に見えた。これこそが有村架純の真骨頂。自然体による演技だ。そう思えた。


塩谷教頭(夏木マリ)から教室の外に呼び出される聖と黒岩くん。そこで塩谷教頭は黒岩くんのお母さん(夏川結衣)が仕事中に倒れたと連絡があったことを告げる。




◇高沢湖駅

聖付き添いの元、黒岩くんは駅で電車を待つ。

塩谷教頭からの電話で、乱闘騒ぎの原因が黒岩くんがSNSの書き込みの犯人が海老原だと知ったためだと聞かされる。


「だからこの件、不問に付そうかと」と塩谷教頭。

「はい、わかりました」と聖。



◯余談だけど、高沢湖駅の話

自然豊かでどこから撮っても絵になりそうな味のある駅だなって思って、何気に「高沢湖駅」でググッてみたら『中学聖日記』ロケ地情報がずらっと出てくる。高沢湖駅はドラマの中の架空の駅なのにすごい情報量。ちなみに実際には栃木県日光市わたらせ渓谷鉄道足尾駅



◇乱闘騒ぎの回想シーン

SNSの書き込みが海老原の仕業だと知り本人を問い詰める黒岩くん。「ごめん」と軽く謝る海老原に「ふざけるなよ」と殴りかかる。「先生傷つけてネタにして、謝ってすむかよ」と倒れた海老原に馬乗りで更に殴る。黒岩くんの聖への思いがストレートに表現された胸が熱くなるシーンだ。



塩谷教頭との電話を終えてベンチに座る黒岩くんの元へ。母の身体も心配だけど、合宿に出てくる時に父の事で言い争いになったことも気がかりな黒岩くん。その事を聖に打ち明ける。


列車が近づいてくるとベンチから先に立つ黒岩くん。


「一目見ん 一目見ん。知ってる? 昔の短歌。斎藤茂吉って人」と聖。

「お母さんが危篤だって聞いて、汽車に乗ってこの歌を詠んだの」


そう言うと聖は短歌を歌う。

「みちのくの母のいのちを一目見ん 一目見んとぞただにいそげる」


「もしこの気持ちがわかるなら大丈夫。黒岩くんとお母さんは繋がってる」

間髪入れずに「危篤じゃないですよね? 」と聞く黒岩くん。

「えっ、ああ、そうだよ、もちろん」と斎藤茂吉の話をしていた時とは打って変わってコミカルなトーンで答える聖。明らかに動揺してる。危篤の母を思う短歌の話で喩えたことを「ごめんなさい」と謝る聖を「いい歌ですね」とフォローして黒岩くんは列車に乗り込む。


「さっきの」と列車に近づき語りかける聖。

「海老原くんの、だめだよ殴るなんて。どんなことがあっても、私のためでも」



この瞬間、心の変化が見える。「私のためでも」と言った聖、そしてそれを聞いた黒岩くんにも。



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☆列車のドアが閉まり始める。黒岩くんが聖の腕をつかんで列車に引っ張り込む。

第3話、珠玉の名シーンだ。


聖のマンションの玄関先で川合勝太郎に見つからずに姿を隠した時と同様に、列車のドアが閉まり始めてからの反射神経はさすがだった。



列車に乗ってしまってからの黒岩くんの「あっ」、聖の「えっ? 」がコミカル調で面白い。

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座席についてからの気まずさを埋める会話。次の駅で急に増える乗客により席を詰めたせいで、二人の手がほんの少しだけ触れ合うがそのままにしてる。とぼける黒岩くんに、真顔の聖。一服の清涼剤的シーンとなってる。



「一服の清涼剤」と言えば、このドラマにおける聖と丹羽千鶴(友近)のシーンもそうだ。教育実習中だった頃の聖の指導担当者で良き理解者でもある千鶴と、時折ボケとツッコミのような掛け合いをしたり、本音トークをしたりするのが面白い。

しかし今話は「一服の清涼剤」とは呼べないシリアスなシーンとなってる。



第3話、ラスト。聖と千鶴、黒岩母と岩崎るな、そして律と勝太郎。それぞれのシーンが重なり合いドラマが一気に加速する。


◇聖のマンション


勉強合宿での黒岩くんとの話をいつものように千鶴に話して聞かせる聖。しばらくは黙って聞いていた千鶴がついに口を開く。


「もうやめな。あんた嘘ついてる。その子と会ってからさあ、相手が生徒だからどうこうなるわけじゃないとか、怪我の手当てとか心配だから終点までとか、嘘ばっかじゃん。自分自身にも」




◇黒岩家


退院した黒岩母の元へ岩崎るなが現れる。


「晶くん狙われてます」と岩崎るな。

「どこまでご存知か知りませんが担任の末永聖は授業中もチラチラと黒岩の事を見て色気丸出しだったり、そうかと思えば気を引くためにしかとしたり、私にもライバル心剥き出しで晶くんをたぶらかしてます。この間おばさんが倒れた時も駅まで送ればいいのに、わざわざ終点まで電車に乗って二人っきりになってました。ただの淫行教師なのかマリッジブルーなのかわかりませんがみんな言ってます。あの女はおかしい。このままだと黒岩くんが心配だって」

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☆岩崎るな


文字に起こしても長台詞だと確認できる。一気にまくし立てるような台詞で、後半は感情も高ぶってきてる。十代の少女の思いが痛々しく、それでいて純粋さにあふれていて聖に対する口汚い言葉とは裏腹に素敵なシーンにも見える。




◇再び聖のマンション


「いい? これだけは言っておく。誰かを好きっていう気持ちは消せない、絶対に」

「ほんとは好きじゃないって気持ちはばれる、絶対に。どんなに気持ちを隠しても気持ちに嘘はつけない」と千鶴。


聖は答える。

「これでも必死で。わかってます。でも、教えたことを受け止めてくれて、ありがとうって」

「こんな私でも、何か価値があるんじゃないかって。気づいたら、私も、目で追っていて」




◇律と勝太郎 BARにて


「たしかにそう思ってました。聖が最近ちょっと感じが違う。男かな、誰かいるのかなって」

「やっぱり、感じてた? 」

「聖の部屋で、誰かと鉢合わせて。相手ただの生徒だと知ってほっとして。けど、じゃあ、誰か他にいるのかってまた疑って。だからフリをしてるんです。そんな自分見ないフリを」


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一瞬視線を合わせる二人。すぐに視線を外す勝太郎。律はその勝太郎の方へ体を向けネクタイを引っ張り顔を引き寄せる。

「なんで私と話す時、いつも体引くんだよ。傷つく」と言って勝太郎にキスをする律。この時背後に流れていたUru『プロローグ』の歌詞は〝どうして二人出会ったの〟

そこでUruの歌声が一瞬止まる。息をのむ瞬間。



◇再び聖のマンション


「どうかしてる、ほんとにどうかしてる」(聖)


「生徒だよ」

「終わるよ、聖」(千鶴)


「わかってます。これ以上はありません。絶対に」(聖)



決意を感じる聖の「絶対に」で今話は終わる。

僕はこれほどに覚悟がありそれでいて危うげな「絶対に」を知らない。