カステラ書房の毎日

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涙を流すことはストレス解消にもなるらしい 『中学聖日記 特別編』第5話

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☆ドラマ『中学聖日記 特別編』第5話より 


【基本的に全編ネタバレ】

再放送を途中から見返す際などに、それまでのストーリーを思い出すためにお役に立てたら幸いです。

多くの人にこのドラマの魅力を知ってもらいたいので。




動画配信アプリというのはありがたいもので、このドラマのように素晴らしい作品を無料で観ることが出来る。

だけど無料には期限があって、毎日その期限は容赦なく迫ってくる。僕は何本もの〆切に追われた人気作家の気分を味わいながら、期限内にドラマを観てそれを題材に記事を書いてる。


「人気作家気分を味わせてくれてありがとう」と冗談を言ってる場合じゃない。今回はちょっとばかり長文になってしまってるので、オープニングトークは短めにさくさく行こう。

それでも、一つだけ言っておきたいのは、一日が終わる夜に観た方がいいよっていうアドバイス。僕もその予定にしてたんだけど昨夜は寝落ちしてしまって、結局今日の朝っぱらから観る事になってしまった。切なくて苦しくて、いろんな思いで涙を流した。やっぱ一日の始まりにはおすすしない。涙を流す事はストレス解消にもなるというから、学校や仕事終わりの夜にでも観るのが一番いいと思うよ。




さて、

前話ラストシーン、聖のマンション前。

末永聖(有村架純)と黒岩晶(岡田健史)の二人は、聖の帰りをマンション前で待っていた川合勝太郎(町田啓太)と鉢合わせる。聖と勝太郎。驚きが隠せない二人の前に、黒岩晶の母・黒岩愛子(夏川結衣)が追い打ちをかけるように現れる。


不倫や浮気を扱った恋愛ドラマにこういった修羅場シーンは存在するけど、このドラマの修羅場はまた違った意味を持ってる。


逃げも隠れもしない。慌てふためきもしない。どこか覚悟が決まってるような、いつかこうなるとわかっていたという諦めのような、そんな感情が入り混じった表情の聖。つよく握られていた黒岩くんの手を無理にほどき、愛子に謝罪をしようとするがその瞬間、勝太郎からつよく抱き寄せられてそのままマンションへ連れて行かれた。



◇聖のマンション


謝ろうとする聖を制し、「信じてる」と勝太郎。これまでのように本当の事を聞くのを避けているのか、今回ばかりは本当の優しさなのか、過剰に聖のことを気づかう。

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☆またしても勝太郎に本当の事を伝えられなかった聖。複雑な心境。





◇子星中学校


塩谷教頭に呼び出され学校に来た聖は、教頭と共に待つ愛子が居る部屋へ。

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夏川結衣演じる愛子絡みで多用されるサスペンス調シーン。始めに塩谷教頭(夏木マリ)が写り、カメラがパン【Pan : カメラを固定しフレームを動かす撮影技術】して、愛子がそこに居る。今話の冒頭シーンでも「聖の背中からの勝太郎」カットがあった。



「黒岩くんは、今思えば最初から、どこか違う生徒でした」

塩谷教頭に促されて聖はこれまでの黒岩くんとの経緯を語る。

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夏川結衣が殺人犯を見る目をしてる。


「教師として未熟だった私は、自分に好意を寄せてくれている黒岩くんに、支えられたんです」


赤裸々に自分の心情を語り、生徒としての黒岩くんの心情を教師としてわかりやすく説明し、最後にその生徒とキスをした事を報告する。


「反省しています。浅はかで愚かでした」と、用意していた退職願を出し、「教師は辞めます。もう二度と黒岩くんには近づきません‥」

謝罪途中の聖に、愛子が母親としての想いを爆発させる展開となる。


息子・晶が生まれてきた時の事からこれまでの事を話して聞かせる。

「そんなふうに一生懸命毎日育てて来たのは‥」

席を立ち徐々に聖に近づく、

「息子を一人前にするため、立派に人生を歩んでもらうため‥」

聖の腕をつかんで立たせる、

「あなたに楽しんでもらうためじゃない、あの子はあなたへのプレゼントじゃない。結婚への不安? そんなのどうでもいい! あんたの退屈しのぎになんでうちの晶が利用されなきゃならないのよ」と怒りをぶつける。


最後には「教師としても人としてもあなたは失格です」と塩谷教頭。



このシーンは他に類を見ない、とても印象深くて心に残るシーンだ。あまりにも痛々しくて胸が締めつけられる。



「あなたに楽しんでもらうためじゃない」なんて実際に言われたら、心の傷は一生消えないよ。それほどにつらい思いを、そして罰を、聖は受けなくてはならなくなったんだ。そしてこの先にも、もっとつらい罰が待ってる。



学校に駆けつけた黒岩くんが聖の腕をつかんで離さない。


「ごめんなさい、もう忘れて。あれは間違いだった。いけないことなの‥」

「なんで」

「あなたが15だから」


聖の言葉を受けて黒岩くんがゆっくりと腕を離す。聖は急いでその場を後にする。




◇大阪・原口律と黒岩晶

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「君、黒岩少年? 」

川合勝太郎を訪ねて大阪までやって来た黒岩くんと原口律(吉田羊)の初対面シーン。


外のベンチで話を聞く律。

「ぼくには聖ちゃんしかいないんです」と言う黒岩くんに「なんか、いいね、それ。この人しかいない、そう思えるって、いいね」


「なんにもないようで、すごく持ってる感じがする。‥さすが少年」

「黒岩晶です」

「君はただの少年。

悔しかったら、早く大人になれ。少年」




◇再び子星中学校・岩崎るなと塩谷教頭


「黒岩と何があったんですか? ニュースになるような事ですか? だったらクビですよね。男の先生だったらダメで女の先生ならいいなんて事ないですよね」

「末永先生に辞めて欲しいの? 」

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「たぶん、はい」


「でもそれは、先生が大嫌いとかじゃなくて、別に好きでもないけど、でもそれより自分がどんどん嫌な子になるから。もう、自分じゃ止められなくて。つらいです」


ここに書き留めただけじゃなく、このドラマでは長めの台詞が印象的な岩崎るな役・小野莉奈さん。黒岩くんは口数の少ないタイプなので、等身大の中学生の想いを語るのは彼女の役割になってる。岩崎るなが黒岩くんを好きなぶんだけその台詞はとても切ない。



◇聖の実家


半ば強引に丹羽千鶴(友近)に実家に連れてこられた聖が母・末永里美(中嶋朋子)に謝る。

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「ごめんなさい。ごめんなさい、お母さん。学校、辞めることになった。結婚も、たぶんもう無理」

「生徒を好きになったの。一緒にいるところを見られて、もういられなくなった」


里美は大阪へ行き、勝太郎さんと結婚しなさいと言う。娘の事を考えたらそれが最善だと思えるからだ。

「一生感謝するよ。それが大事なの、この人に借りがある、私の人生を変えてくれた恩人。そう思ったら、結婚生活必ずうまくいく」

「勝太郎さんとなら幸せになれる。聖が幸せにするの」



◇勝太郎のマンション


「川合、らしくないよ。もういいから、あんたお得意の見てないフリ聞いてないフリ平気なフリ。つよがらなくていいから。食べて寝て、元気だしな」

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落ち込む勝太郎に食事を用意した律。「相手、中学生ですよ」とぽつりと本音をもらす勝太郎。




◇黒岩家・晶の部屋


食事もとらない黒岩くんを心配して上布茂(マキタスポーツ)がコンビニで買ってきた差し入れを持って部屋に入ってくる。

「やっぱ良かったんだよね。聖ちゃん先生辞めて良かったんだよ。こんなしおしおとした態度を取ってるような男、そりゃあ頼りにならないし、みんなに心配されてしごく当然だし」


「もし認めて欲しかったら、男としてもっとしっかりとしたとこ、見せてくれよな」



◇翌日・黒岩家


クラスメイトの九重順一郎(若林時英)がやって来て、聖のマンションに引っ越し業者のトラックが停まっていたことを知らされる。家を飛び出そうとするが母・愛子に引き止められ、父と離婚した原因は自分の不倫だったと告白される。このシーンの文字おこしはしない。母子共に感情がのった台詞が続き、その熱は文字では伝わらない。いや、伝えられるけどさ、もの凄い長文になってしまいそうなんでエスケープすることにする。とにかく黒岩くんは母の制止を振り切って聖の元へ。




◇聖のマンション前から

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「あんたがいいの。好きなの」と電話で勝太郎に告げる律。

「あんたより好きな人に会っちゃったの、聖ちゃんは」

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「川合、もう一度聞く。いいの? このままで」



聖のマンションから車を走らせる勝太郎。それを目撃する黒岩くん。自転車で結構な距離を走って勝太郎の車に追いつく脅威の身体能力をみせる。


ようやく追いついて、聖がそれに気づくとUruの『プロローグ』のイントロが聴こえてくる。

さすがに真っ向勝負では車には追いつけない黒岩くん。自転車で転倒し4〜5回転くらい道路で転げ回ってもなお走って追いかけるが、そのまま別れになる。





しばらくして勝太郎に車を停めさせて「やっぱり一緒には行けない」と告げる聖。


「こんな状態で勝太郎さんに甘えてたら‥」と語る聖に「こんな状態って誰のせいだよ! 」と声を荒げて初めて本音を口にする勝太郎。「誰のせいで、こんなみっともない馬鹿げた状況に。俺がどれだけ、」と聖の顔を見た勝太郎は言葉を飲み込む。聖は「ごめんなさい」と言って婚約指輪を外し車のダッシュボードの上に置く。


車を降りようとする聖に、

「なら、この先一人になって、全部失くせばいい」と勝太郎。

愛が憎しみに変わった瞬間。

それをなんとも言えない表情で受け入れる聖。



2015年の夏が終わった。