☆『したむきちゃんの下をむいて歩こう』第2話☆
ある日から僕は人間をやめてカステラとして生きることにした。
「死にたい」とさえ思っていたあの頃からくらべると、だいぶマシにはなったかと自己分析してる。
なにも悪戯に物騒なことを言うつもりもない。
ただ、死ぬか生きるかを考えたときに「生きる」しか選択肢がなくて、なし崩し的に生きていたんだ、これまでずっと。
カステラは甘い香りを漂わせ、ふんわりと僕をつつんでくれた。
カステラとしてなら、「選択肢がなくて」とか「なし崩し的」とかじゃなく生きていけるんじゃないかって思えたんだ。
すべてを失ってなんにも無くなった自分。
この先を、これまで生きてきたようには生き続けることができなくなってしまった自分。
とっくに「さよなら」したつもりだったけど、ほんとうに「さよなら」するときがきた
♪
good-by もう戻らない日々よ
good-by どうか幸せでいて
♬
LONGMAN『Replay』を毎日何回も聴いて、ずっと口ずさんでる。
愛媛発のスリーピースバンドLONGMAN(ロングマン)を好きになって、今朝もFM愛媛『マシンガンエチケット』に彼らが出演した回を聴いたりした。
そのLONGMANの『Replay』がドラマの主題歌になってるってことで、遅ればせながらドラマ『ゆるキャン△』を観るようになって、昨夜も第9話を観た。木曜の夜に楽しみがひとつ増えた。
今朝は日の出とともに起き、収集日なので可燃ゴミをもって外に出た。
空気が凍ってるように冷たく感じたけど、なんだか気持ちがよかった。
寒さを嫌い「寒さに不幸を感じる」と言ってた僕だけど。
寒さなんてへっちゃらだと雪の中ではしゃいでいたかつての仲間の女の子のことを思い出して、すこし幸せな気分になった。
そんなふうに最近、カステラとして生きるということがなんなのかをつかめそうな予感がしてるんだ。
前列のないことだから、もちろんネットで検索したって出てくるもんじゃない。これはあくまで僕だけの生き方だ。
毎日を生きながら、積み重ねていきながら、僕はほんとうの意味でカステラになっていく。
子どもが「立派な大人になりたい」みたいなテンションで言うよ。
「僕はいつか、立派なカステラになりたい」
これは妖怪人間ベムが言う「はやく人間になりたい」に近い。奇想天外なことを言ってるのは自覚してる。だけど、ルフィが「海賊王に‼︎! おれはなるっ」って言うくらいには本気であって、とにかく冗談やおふざけで言ってるんじゃないということだ。
♪
悲しみを乗り越えたら
寂しさを乗り越えたら
そこに意味があることは
分かっているさ僕にだって
♬
今日もLONGMAN『Sunset』を
聴いて一日をスタートさせた。
サンセットではじまるなんて変だけど、朝焼けはまだ僕には眩しすぎるのかもしれない。
♪
そこに意味があるのなら
それで強くなれるなら
もう少しだけ歩くよ
余裕のフリもするよ
♬
夕方にオフハウスに寄って、めっちゃ安い値段の座椅子を買った。
折り畳むとソファーのようになり、広げるとベッドのようになる優れもんだ。
部屋にそれを敷いて寝っ転がって感動した。あったかいんだ。
これまで、フローリングの床に銀色の保温シートを敷いて寝るという、部屋の中にいながらホームレスのような生活をしていた僕にとっては革命的なあたたかさだった。
寝っ転がってたらそのあたたかさが気持ちよくて、うとうとと寝ちゃってた。危うく今日の日付けをまたいじゃうとこだった。
寒い夜。
これからは前よりかはマシになりそうだ。
自分の事を大切にできない自分を、少しだけ変えていけるような予感もしてるから。
次は掛け布団かな。
最近、インスタグラムへの投稿をサボってるんで、しっかりやらなくちゃって思ってる。せめて「思うだけ」でも前向きに。
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