最終話にして復活したオープニング ナレーション
「最高のお風呂とは何なのか? このドラマは、自宅のお風呂を愛してやまないふろがーる、生実野早夜子(おゆみのさよこ)が、湯船と格闘しつづける、癒しの冒険活劇である」
□テレビ東京『ふろがーる!』
2020年7月15日(水) より放送スタート!
毎週水曜 深夜 0:58〜
記事は8月19日(水) 放送の第6話(最終話)より
【基本的に全編ネタバレ】
『カステラ書房の毎日』
毎日深夜1時更新!
たま〜に(割と最近多いかな?)。深夜1時に更新できなかった時は、その日のカステラタイム / 午後3時(等)に更新します。毎日更新は絶対!
☆読むドラマとは?
やいのやいの言いながらドラマを見る感覚で、このドラマの面白さを一緒に語り合ってるように読んで楽しめるものである。
また、トークバラエティー番組っぽくやってるつもり(探り探り)でもある。
基本的にはドラマを先に観てください。
それと、ドラマを観るつもりもなかった方が、これを読むことによって「観てみよっかな」ってなってくれたら最高! なので、地味にそこも目指してる。
放送は終わっても、動画サービスアプリ等でね。
☆過去の記事、第4〜5話はこちら
『ふろがーる!』第6話(最終話)
「先輩 応募しときましたよ」
いつもの「先輩。聞いてくださいよ〜」じゃなくて、やられた〜って感じで思わず笑ってしまった。
それにしても、なんだか嬉しそうな檜山愛乃(小西桜子)。
反対に生実野早夜子(桜井日奈子)は仏頂面で「何をだ」と聞く。
愛乃「お風呂アイデアコンテストですよ」
早夜子「なんだそれは?」
愛乃「今、一般の人からお風呂の入浴法を募集してるんです」
早夜子「おもしろき試みだな。二年時間をくれ」
愛乃「〆切来週なんで」
初めは仏頂面だった早夜子が、〝お風呂アイデアコンテスト〟に食いついて嬉しそうな顔になる。
だけど咄嗟に二年も、考える時間を要求する早夜子はさすがだね。ほっといたら、本気で二年越しでアイデア出してくるんだろうよ。
で、今回のタイトルが、
最終話 早夜子VS風呂 最後の戦い
「最後の戦い」って、え? 早夜子って風呂と戦ってたの? と、疑問に思う、謎のタイトル。
早夜子(心の声)「先駆者たちの努力によって今の風呂が出来上がっている。そのバトンを受け取る私としては中途半端なものは応募できない。そうだこういう時は、確か手のひらに〝風呂〟という字を書いて飲み込めば、何か思いつくはず」
手のひらに指で〝風呂〟と書いて、それを飲み込む。
早夜子(心の声)「何か、思いつきそう。アイデアがすぐそこ、脱衣所までやってきている気がする」
誰から聞いたものなのか、その情報元が気になる謎のおまじない。でもこのおまじないは凡用的に使えるものじゃなく、あくまで風呂に関することについてのみなんだろうね。使うシーンが狭いよ!
「よし次は風呂より難しい漢字である〝浴槽〟を飲み込めば…」
「難しい字だけあってなかなか飲み込めぬ」
「え〜いっ!」と口の中に押し込み両手で口を押さえると、ゴクリと音を立て無理矢理飲み込む。
からの〜、
「閃いた!」
嘘でしょー⁈ って。
冗談やめてよ早夜子さんって思うけど、本人は大真面目。
このシーン、笑ったなあ。最終話にして、こんな面白いシーンがまだあったんだね。2〜3話くらい前から連続でやってもよかったんじゃないかってくらい面白いよ。
で、閃いたアイデアっていうのは、自宅のお風呂の温泉化計画。
「閃いた!」というほどのアイデアではない気もするが。
何やら浴槽に大きめの石を放り込んで岩風呂っぽくしたり、露天風呂の雰囲気を出そうと大ハンマーを振り上げて天井に穴を開けようとしたり、やたら発想がロックな早夜子。
途中でケータイが鳴り、天井に穴を開けるのは辛うじて未遂に終わったけど、早夜子の住んでるところって、アパートの一階だからそもそも無理でしょって。え? 一階建てだったかな?
ケータイの着信はもちろん愛乃だった。
「何かいいアイデアを思いつきました」と聞く愛乃。
早夜子が自宅の風呂を温泉にするアイデアを話して聞かせる。
早夜子「まず、毎日箱根から湯を運んでくる。それから風呂に岩を敷き詰める。その上でハンマーで天井に穴を開ける。そうすれば自宅で露天の岩風呂を楽しむことができる。星空だって見放題だ」
愛乃「先輩ってそういう冗談言うタイプなんですね?」
早夜子「冗談? どこに冗談の要素があるのだ」
お風呂に革命を起こしたくてハイになってる早夜子。かなり危険な状態だ。
愛乃「でも、毎日箱根からお湯を持ってくるのって現実的じゃない気がしますけど」
早夜子「現実的じゃないことをやるから革命が起きるのだろう。熱々の源泉を湯船に注ぎ…」
愛乃「持ってくるあいだににお湯さめません?」
早夜子は無言で、「それは気づかなかった」みたいな顔してる。そこは考えてなかったんだろう。
愛乃「それに岩を入れたら湯船が傷つきそうだし」
早夜子はまたもや無言。「たしかに」みたいな顔してる。
愛乃「天井に穴を開けたら雨が降り注ぐじゃないですか? それでいいんですか?」
早夜子「それは、気づかなかった」
愛乃「先輩って、本当にお風呂のこと愛してるんですか?」
早夜子「なに?」
愛乃「正直、愛してる気がしなくて」
早夜子「愛してるに決まってるだろ。もし浴室で銃撃戦が起こったら風呂の前に出てかばいたいくらい愛してる」
愛乃「ほんとかな? だって、湯船に岩入れるんですよね? 自分に置き換えたらお腹の上に岩乗せられるようなもんですよ。ありえないでしょ! 私がお風呂だったらそんなことする持ち主大っ嫌いです」
早夜子「大っ嫌い?」
愛乃「私の失恋を癒してくれたお風呂、悲しませないでくださいね。お風呂は持ち主を選べないんですからね」
と言ってビデオ通話を切る愛乃。
早夜子は浴室へ行き、大きめの石を沈めた湯船眺める。
早夜子(心の声)「私はなんてことを、風呂の気持ちを全く考えてなかった」
早夜子は服のまま湯船に飛び込み石を拾い上げる。
唐突に例え話をするね。
僕が昔、調理関係の仕事をしてた時の話。サラダにするために野菜を手で千切っているとそれを見ていたある人が、不思議そうな顔して「手で千切るんですね」って聞いてきたから、僕は「野菜にストレスをかけないように素早く千切るんです」みたいな事を言ったんだよね。そしたらその人が、「野菜のストレスまで考えたことないな〜」と笑ってた。
わかる人にはわかると思うけど。僕は早夜子が風呂の気持ちを考えることを否定するようには笑えない。肯定しまるごと受け止めるからこそ味わえる面白さがこのドラマにはあると思うんだ。どこをどう面白く感じるかは人それぞれだけどね。
早夜子が部屋で寝転び、お腹の上に石を乗せてる。
早夜子(心の声)「なんて重いんだ。こんなものを湯船に置くなんて。なんて酷い仕打ちを。私は風呂に入る価値のない人間なのかもしれない」
やがて夜になるが、早夜子はず〜っとお腹に岩を乗せたままだ。
早夜子(心の声)「風呂に入りたい。しかしもう風呂に合わせる顔がない」
愛乃からケータイに着信があるが電話にも出ない早夜子。
やがて朝が来る。
早夜子は一晩中、岩をお腹に乗せたままだった。
涙をこぼし、「風呂」とつぶやく。
すると玄関のチャイムがけたたましく鳴る。この鳴らし方はもう愛乃に決まってる。
早夜子は岩を抱えたまま玄関に出る。
愛乃「全然返信ないから死んだのかと思いましたよ」
早夜子「死んだほうがいいのかもな。私は最愛の風呂を傷つけてしまった」
愛乃「その様子じゃあ、お風呂入ってないんですか?」
早夜子「私は生涯、いや来世まで風呂に入らないと決めた」
そんな早夜子を無理矢理風呂に連れて行く愛乃。
愛乃「誰だってそういう時ありますよ。間違えない人間なんていない。ちゃんと謝れば間違いを、お風呂だって許してくれますよ」
早夜子「私のことを許してくれるのか?」(風呂に聞く)
愛乃「きっと風呂も先輩に早く入って欲しいって言ってますよ」
早夜子がいきなり愛乃の両肩をつかむ。
愛乃「なんですか?」
早夜子「お主、風呂の言葉が分かるのか?」
愛乃「え? ああ、少し」(早夜子に合わせる)
早夜子「どこで習った?」
愛乃「えっと、子供の頃に。塾で」
早夜子「塾? そんな塾があったとは。どこにあるのだ?」
愛乃「え〜、あれどこだったかな〜」
早夜子「そんなことより私の風呂は今、何と言っておる?」
愛乃(耳に手を当てて風呂の声を聞くふりをして)「いつもきれいに使ってくれてありがとう。これからもよろしくねー的な雰囲気なことを言ってますね」
早夜子「なんと、ひどい仕打ちをした私にそんな感謝の言葉。なんて懐が深いんだ」
風呂に激しく抱きつく早夜子。
愛乃「じゃあ、あたし帰りますね」
風呂に対する思いが強すぎて変な方向にいっちゃってる早夜子に、ついていけなくなったのか愛乃は逃げるように早夜子のアパートから出ていく。
早夜子(心の声)「私のことを許してくれるとは。その思いに応えるためにもこの湯船を使った最高の風呂。必ず作り上げる」
そこから早夜子が最高の風呂について考える。
〝最高の風呂〟
それは、これまでのように風呂に何かをプラスしたり、奇抜なアイデアが必要だったりするものではない。
ただ純粋に、そのままでいい。日常的ないつもの風呂こそが最高なんじゃないか、という結論に達する。
湯船につかりこれまでのことを思い出したりしながら、風呂に癒され早夜子が涙をこぼす。
もうこれが〝最高の風呂〟なんだよね。
どこまで感情移入できるかは人それぞれだと思うけど。
何かを好きになって、このドラマの早夜子みたいに、それを好きでいることで毎日を楽しく生きている人って、世の中にはたくさんいると思うんだ。
早夜子にとってそれは風呂だったけど。いつも当たり前にそこにあるものに、知らず知らずのうちに癒されたり、助けられていたりしてるんだ。
日常を描く上でとても狭い限定的な一部分を切り取ったドラマだったけど、ただ面白がってニッチなドラマに仕上げたってかんじじゃなく、もっとね。それは深くて。
早夜子も台詞で度々、「◯◯は奥深し」みたいなこと言ってたけど。
それに気づけるか、そもそもそれを考えることが出来るのかって事だよね。
風呂はそこにあるんだし、やろうと思えば誰にだっていつだって出来る。
そんな幸せな考えごとを湯船につかりながらできたら、それはそれは最高だよね。
素敵なドラマをありがとうございました。
〈おしまい〉
【番組後記】
前日に『カステラ書房の毎日』史上初の一日三回更新を実施した。しかも、その三回目の更新時間は22時。
本来なら日付け変わって深夜1時に更新すべき記事だったけど、その題材となってる『おしゃ家ソムリエおしゃ子』の放送時間前にどうしても公開したかったので無理を通した。
22時にそれを公開してから、なんとか深夜1時に公開に、この『ふろがーる!』最終話の回を急ピッチで執筆したけど間に合わなかった。
いや、ほぼ完成してたんだけどね。校正とかが間に合わなくて(負け惜しみ)。
最近の記事で誤字脱字を発見するケースが結構あって、〝急いては事を仕損じる〟じゃないけれど、たとえ急いでても、しっかりやることはやらないとなあ〜と反省。
まあ、何度確認しても見つけられないミスってあるけどね。
〈次回お楽しみに〉