カステラ書房の毎日

〝令和きってのドラマウォッチャー〟阿倍カステラが所属する『カステラ書房』

読むドラマ ◇ case5 『ぼくは麻理のなか』第3話 (ゆるversion )

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□フジテレビ『ぼくは麻理のなか』

2020年6月2日(火) より再放送スタート! 毎週火曜 25:25〜  6月16日(火) 第3話 より


【基本的に全編ネタバレ】



前回で味を占めた、ゆるversion という〝逃げ道〟

「ゆるい」で何でも済まされるのか問題 第二幕


その前に。

はてなブログは優秀なんで関連記事に自動的に表示されると思うんだけど、『ぼくは麻理のなか』第1話(6月6日付)、第2話(6月18日付)の過去記事アリ! 合わせてご覧あれあーれ⁉︎



「読むドラマ」はじめるよ

〝最速の執筆家〟阿倍カステラがお送りする「読むドラマ」という名の快速列車。

故に阿倍カステラは車掌も運転手も兼任してる。乗客はあなただ。さあ今宵も見切り発車で出発進行!



「読むドラマ」とは、あらすじ紹介ではなく、読者と「ドラマ」を共に観る感覚で読める、ドラマを題材にした雑談みたいなもの。良ければ一緒に楽しみましょう。詳しい説明は記事の最後に追記アリ。



前回、『ぼくは麻理のなか』第2話の記事の時に初めて選択した、ゆるversionという〝逃げ道〟

「ゆるい」と言えば何でも済まされるようなのって、僕自身あんまり好きじゃないんだけど、自分でそれをやってみると正直心地いいね。元々おまえが「ゆるい」だろっ!ってのもあるかもしれない。


だけど最近、30分枠のドラマが増えてきたせいもある。1時間枠のドラマと比べたら単純に半分だし、記事の内容だって比例して然るべきだ。なのでしばらくは、30分枠のドラマには、この便利なツール〝ゆるversion〟を活用していきたい。



それと今回は初の試みとして、裏テーマを設けてみた。それはドラマを見て「これだけは言いたい」と思ったことを語るというもの。


レイザーラモンRGは「あるある言いたい」とか言いながら、あるあるをなかなか言わないで、その代わりに歌をうたって引っぱって、引っぱって、引っぱってからようやくあるあるを言う。


筆者・阿倍カステラ(以下、僕)も、あるあるではないけれど、『ぼくは麻理のなか』第3話を見て、「これだけは言いたい」ことがあるんだ。


でも、すぐには言わない。RGさんの真似して引っぱってみたい(何故? )。

でも文章なので、RGさんのように歌えないから、そこはやはり文章でやるとする。

『ぼくは麻理のなか』略して〝ぼく麻理〟を、語呂がいいんで「ぼく麻理に言いたい〜」として、これが今回の裏テーマとなる。

そういう訳で、「読むドラマ」case 5 をスタートしたい。


「ぼく麻理に言いたい〜」か。

我ながらくだらないなあ。




◇麻理の部屋


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「麻理、起きてる? 入るよ」と麻理の部屋に入り、「寝過ぎて疲れたでしょ。もう夕方の5時だよ」とベッドで横になってる麻理に声をかける母・吉崎絵里子(西田尚美)。


「麻理さんじゃありません。ぼくは小森功です」と、うなされてるように小声でつぶやく小森(体は麻理)。

「大丈夫、食べてお薬飲んで、すぐ治るから。ねっ? 」と母・絵里子。



自分の事を「麻理じゃない」と言い、知らない男の名前を言ってそれが自分だという娘に、何のくすりを飲ませたら治るんだろう? と、ちょっと疑問に思ったけど様子を見ることにした。ちなみにこれは「ぼく麻理に言いたい〜」事ではない。ただの素朴な疑問。



絵里子「お父さんには風邪こじらしてるって言ってるし」

小森(体は麻理)「ぼくは麻理さんじゃありません」

絵里子「そんなことない。麻理は麻理だよ。来週くらいには学校に行けるように、がんばろう」


まあ、確かに。風邪こじらせて高熱であれば幻覚だって見るかもしれない。子どもが起こしやすい「熱せん妄」という、高熱に伴って異常行動をしたりする症状だってある。



麻理の部屋を出て扉を閉める母が、嘘くさい笑顔から真顔というか、何かを企んでいるような表情になる。この一連の表情の変化、なんなんだろう?





◇小森のアパート前

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「おーい、ぼく。今なにしてんの? いいなあお前は」

2階の部屋に居る窓から少しだけ見える小森功に向かってつぶやく小森(体は麻理)。

「ねえ。なにしてんの? ここで」と向かいの建物の2階から声をかける柿口依(中村ゆりか)。



「ぼくは変わりたいんだ」と小森(体は麻理)は依に気持ちを打ち明ける。

親の金を頼り何もせずダラダラと過ごしている小森功吉沢亮)の姿を、何日も監視していたという依は「あんな人間が変わるって」と苛立ちを口にする。


小森を監視していたその建物のゴミ捨て場で依が見つけた一枚の紙切れ。

チョコレート菓子の箱の千切れた蓋の部分に文字やイラストが見える。依はそれを小森(体は麻理)に手渡す。


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□なんだか絵のタッチがかわいい


そこには「今日の小森功」というタイトルのイラスト入り観察日記のようなものが書かれていた。その最後には「麻理」の文字が。

「吉崎さんは、ここであんたを見てた」

小森(体は麻理)「ぼくは会いにいく。あのぼくに」


◇上記掲載画像に書かれてる文章

今日の小森功

またゲームしてる。

パソコンみてオナニー。

コンビニ行ってカツカレー買って食べてた。

いいなあ あなたは。

ずっと そのままでいてね。

麻理




◇小森のアパート


小森のアパートに行き部屋に入る小森(体は麻理)と依。目の前の自分・小森功に「ぼくが、この娘(自分の体)が誰か本当にわからない? 」と聞く。まったく思い当たらない様子の小森功に、麻理が書いたと思われる「今日の小森功」を見せる。


小森(体は麻理)はこれまでの経緯を説明する。


小森(体は麻理)「お前はぼくだ」「どうしてこうなったのか知りたい。きっとぼくの中に答えがある。それがわかればきっと、麻理さんに会える」


小森(体は麻理)は小森功を連れ出して、二人が入れ替わった最初の場所へ行き、その時のシチュエーションを再現してみるが収穫はゼロ。


実際的には振り返って目が合ったというだけのシチュエーション。

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□入れ替わりモノの元祖とも言える映画『転校生』(1982年 大林宣彦監督 )では、主人公の男女が神社の階段を二人で一緒に転げ落ちて中身が入れ替わった。

このドラマでの入れ替わりシーンでは原因となるような、特別変わった出来事はなかったように思う。再現は難しいよね。


◇再び小森のアパート

一旦、小森功のアパートに戻り小森同士でTVゲームをして意気投合する。


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気は合うだろうね、同じ小森功なんだから。実際、自分と遊ぶってどんな感じなのかな。自分と友だちになれるのかな。とか、妄想すると不思議な感覚になるよ。やってみて。




◇吉崎家


小森(体は麻理)が麻理の家に帰る。母と父と一緒に三人でリビングのテーブルにつく。心配する両親が娘が抱えてる悩みを聞き出そうとするシーン。前回の「読むドラマ」でも紹介したけど、ここでも独特すぎるカットがあった。


□ぼく麻理、独特すぎるカメラアングル①

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魚眼レンズで撮影した鼻が大きく写る犬の写真「THE DOG」みたいな感じのカット。



この母・絵里子がちょっと病的に見える。このシーンでも喜怒哀楽の表情が激しく変化する、その様がかなり妙。

麻理そっちのけで母と父が意見の相違から口論を始め、母の言葉が強すぎるため次第にエスカレートする。


小森(体は麻理)「私を見ろよ。誰も見てない、私を。見てるのは私の皮だけだ。楽しいふりして笑ってるふりしてつながってるふりして。みんな自分だけを見て。そんなの地獄じゃねえか」


たまらず母・絵里子が「麻理」と呼ぶと、小森(体は麻理)は「麻理じゃない‼︎ 」と叫んで、「だから羨ましく見えたんだよ、誰ともつながってないやつの事が」


「ねえ、そうなの? 」と自分に問いかけるようにつぶやいて、席を立ち二階の麻理の部屋へと階段を駆け上がった。


□ぼく麻理、独特すぎるカメラアングル②

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そのリビングでの両親とのシーン。ずっと麻理のドアップが続く。麻理に限らず両親もそうだったけど。観る方としては麻理のドアップなら申し分ない。寧ろ有難く堪能できるけど、さすがにこれ、やり過ぎじゃない? ってくらいに長い。




麻理の部屋で小森(体は麻理)は鏡に写る麻理にキスをする。


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小森(体は麻理)は「ぼくは、ぼくを見る」と言って制服を脱ぐ。これまで服を着替える時は目をつむっていたのに、初めて麻理の体を見る。とはいえ上着とシャツを脱いだ程度なんだけどね(そりゃそーだ)。


ベッドの上で麻理の体を触りまくる小森。

小森と麻理が体を重ねキスするシーン(妄想)では二人の台詞も重なる。


「麻理、ぼくは君だ。君はぼくだ」

「失くなれぼくなんか、消えて失くなれ、溶けてしまえ、君のなかに」


小さな女の子の声「あなただれ? 」

我に返る小森(体は麻理)。

すると携帯電話に着信が。非通知。電話に出る。「誰ですか? 」


「あなただれ? 私、麻理だけど」




◇これで第3話終わり。


毎話ラストでは予想外の展開になり驚かされてきた。

第1話 「入れ替り」 では、小森と麻理が入れ替わったもんだと思ってたら、小森は小森のままだった、という衝撃的な事実を知ったラスト。

第2話 「告白」 では、クラスメイトの元カレと母・絵里子の前で「ぼくは麻理じゃない。小森功だ」とバラすという予想外の告白で終わった。


そして、お待ちかね(待ってない? )「ぼく麻理に言いたい〜 」のは、ここ !


第3話 「麻理からの電話」 ←って、その回のタイトルでそこまでバラしちゃう意味ある? 

小森(体は麻理)がベッドで麻理の体を触りながら、麻理と体を重ね、かなり濃厚なキスを妄想(なのかな? )するシーン。小さな女の子の声にハッと我に返る。ドキッ。次の瞬間、携帯電話の着信バイブ音。ドキッ。

ホラー映画を思わせるようなここまでの流れ。

電話に出る小森 「誰ですか? 」

「あなただれ? 私、麻理だけど」


うん、知ってる。サブタイトルにあったから。

なんならいつ、どんなふうに電話がかかるんだろうって待ってた。小森は知らないから最初、柿口依かと思い「依さん? 」って聞いてたけど、「いやいや、それ麻理だから」って思ってた。


オープニングのサブタイトル観てなかったら、「ここで本人から電話かかってきたよー ‼︎」の衝撃的ラスト楽しめたのになあ、って思った。

あのサブタイトル。なんか意味があって、あえてやってんのかな?


とにかくこの「読むドラマ」では、いつもドラマの事を書いてるから、【ネタバレあり】の表示は重要だな、と実感した。たまに入れ忘れたりしてたもんな。反省!


という訳で、僕の「ぼく麻理に言いたい〜」は、「サブタイトルの意味? 」でした。


知らない方が楽しめたというのはあくまで僕の見解。知ってる方が良い場合もあるだろう。あなたはどっち派?


あえて知ってた方がどんな展開になるんだろう? と観る前からあれこれ考えたり出来て期待感が高まったりする感じかな。

だって僕は見逃してたけど、第2話終了後の次回予告でそれって放送されてたんだよね?


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□ちなみにこれが次回・第4話の予告

依が「麻理さんは、なかにいるんじゃない」と言ってる。


僕は続けて視聴する事を決めてるドラマの予告は観ないようにするタイプだから、そこらへん過敏なのかもしれないね。





【番組後記】


『ぼくは麻理のなか』というドラマのせいで、小森(体は麻理)という表記をしてるもんで、なんだか文章が書きにくい。

今回みたいに小森と小森が出かけたりして行動を共にしだすと混乱するよ。「麻理」と表記するのもなんだか違う気がするし。いやあ、難しい。読んでて混乱しませんか?


今回の『ぼくは麻理のなか』第3話のラストあたりの台詞で「ぼくは君だ。君はぼくだ」ってあったせいで、前田敦子『君は僕だ』を思い出してしまい、ずっとあっちゃんの歌が耳を離れてくれない。





【カステラ書房の見解】

この「読むドラマ」は、広義ではドラマの〝批評〟にあたるが、それを目的としたものではなく、筆者・阿倍カステラが題材とするドラマを観て感じた事、書きたいと思った事をそのまま文章にしたものです。そこに言葉をつむぎながら新しい創作を模索する、言わばチャレンジ企画みたいなものです。よって今後もお気軽にお読みいただけましたら幸いです。



〈おしまい〉